山形の合気道・白田林二郎先生
~山形の四方投げについて~
四方向への四方投げとみそぎについて
「山形の四方投げは表裏ではなく四本あるのか?」
~船越光雄師範より、寄稿いただきました~
白田林二郎師範の遺稿から一部抜粋いたします。
「四方感謝の礼拝の念(四方拝)より湧出した武技が、四方投げの技であり四方切りの剣法の表現である。
礼の心は、有難うございますという感謝の心である。何に感謝をするか。四恩である。一、天地。二、両親。三、国土。四、社会衆生。天地なくして我に生命なく、両親なくして我が身なし、国土なくして住む家なく、衆生なくして生活なし。
また、四恩の中に四つの心がある。一、感謝と祈り。二、禊。三、自己開拓。四、無償の奉仕。この武道的表現として四方投げがある。
武技は礼の表現であり、感謝の表現即ち行動であり、行(おこなう)を追及している。我、今此のために受け難き人身を此の身に賜り、此の豊かな世に生まれさせて戴き、生活させて戴いておりますことに対して、四恩に感謝と御礼を申し上げる。これ礼の始まりであります。感謝御礼の心も意思も行動に表現すること、即ち報恩の行為、此のことが礼を行うという。」
みそぎについて、「みそぎ(合気道即ち体術、剣、杖)は自らの神霊のみそぎは勿論、自己のみそぎを通して有縁無縁の人々の神霊を清浄ならしめ、社会を浄化し世界を浄化し、人類の幸福を祈念する祈りの修行である。合気道は、自己の修業を通して他を救い生かし、社会が、世界が合気で結ばれますように、みそぎの道、祈りの道であります。」
以上、合気道は相手と競い争う武道でなく感謝と祈りの武道であり、生命の賛美と報恩、そして心魂の浄化を表現する武道であることがお分かりのことと思います。
一般的に合気道の技は表と裏の二方向の動きになっておりますが、白田先生の特徴は感謝と祈りの四方への礼拝の考え方から、基本的な形として四方向への体捌きになっております。
長年合気道を続けている方はお分かりのことと思いますが、相手の攻撃(力)は一方向ばかりでなく、突いたり引いたりする前後の動き、横や斜めといった左右の動き、そして高低差による上下の動きが微妙に変化しながら向かってきます。後ろ技を含め、このような多方面からの攻撃や動きは単なる型や形では対応が難しくなり、無理やり力ずくで相手をねじ伏せることになります。これでは合気道になりません。腕力になってしまいます。力の方向によって四方八方十六法自在に動く多方面に対応する動きや体捌きが求められます。その基本動作として白田先生は30°、45°、90°、180°、270°、360°といった体捌きを教えられておりました。全方位に対応する動き方です。
戦前の武道は時に命のやり取りであり、現在のスポーツ的試合(ゲーム)とはかけ離れ、勝負は生死を賭ける「死に会い」に通じるもので、死ぬか生きるかの厳しい状況下で如何に身を守るかを実践していたようです。
「世界人類が平和でありますように。世界人類が愛の気(合気)で結ばれますように。守り給え、幸い給え。惟神御霊幸倍坐世、惟神御霊幸倍坐世」と太平洋戦争を体験され平和の尊さを知る白田先生は、心底から祈られておりました。四方への祈りと感謝が四方への動きである体捌きとなり、四方投げだけでなくあらゆる技に白田先生独特の体捌きである四方向への技を系統立て、構成なされたのではと考えています。 (記 船越光雄)
「山形の四方投げは表裏ではなく四本あるのか?」
~船越光雄師範より、寄稿いただきました~
白田林二郎師範の遺稿から一部抜粋いたします。
「四方感謝の礼拝の念(四方拝)より湧出した武技が、四方投げの技であり四方切りの剣法の表現である。
礼の心は、有難うございますという感謝の心である。何に感謝をするか。四恩である。一、天地。二、両親。三、国土。四、社会衆生。天地なくして我に生命なく、両親なくして我が身なし、国土なくして住む家なく、衆生なくして生活なし。
また、四恩の中に四つの心がある。一、感謝と祈り。二、禊。三、自己開拓。四、無償の奉仕。この武道的表現として四方投げがある。
武技は礼の表現であり、感謝の表現即ち行動であり、行(おこなう)を追及している。我、今此のために受け難き人身を此の身に賜り、此の豊かな世に生まれさせて戴き、生活させて戴いておりますことに対して、四恩に感謝と御礼を申し上げる。これ礼の始まりであります。感謝御礼の心も意思も行動に表現すること、即ち報恩の行為、此のことが礼を行うという。」
みそぎについて、「みそぎ(合気道即ち体術、剣、杖)は自らの神霊のみそぎは勿論、自己のみそぎを通して有縁無縁の人々の神霊を清浄ならしめ、社会を浄化し世界を浄化し、人類の幸福を祈念する祈りの修行である。合気道は、自己の修業を通して他を救い生かし、社会が、世界が合気で結ばれますように、みそぎの道、祈りの道であります。」
以上、合気道は相手と競い争う武道でなく感謝と祈りの武道であり、生命の賛美と報恩、そして心魂の浄化を表現する武道であることがお分かりのことと思います。
一般的に合気道の技は表と裏の二方向の動きになっておりますが、白田先生の特徴は感謝と祈りの四方への礼拝の考え方から、基本的な形として四方向への体捌きになっております。
長年合気道を続けている方はお分かりのことと思いますが、相手の攻撃(力)は一方向ばかりでなく、突いたり引いたりする前後の動き、横や斜めといった左右の動き、そして高低差による上下の動きが微妙に変化しながら向かってきます。後ろ技を含め、このような多方面からの攻撃や動きは単なる型や形では対応が難しくなり、無理やり力ずくで相手をねじ伏せることになります。これでは合気道になりません。腕力になってしまいます。力の方向によって四方八方十六法自在に動く多方面に対応する動きや体捌きが求められます。その基本動作として白田先生は30°、45°、90°、180°、270°、360°といった体捌きを教えられておりました。全方位に対応する動き方です。
戦前の武道は時に命のやり取りであり、現在のスポーツ的試合(ゲーム)とはかけ離れ、勝負は生死を賭ける「死に会い」に通じるもので、死ぬか生きるかの厳しい状況下で如何に身を守るかを実践していたようです。
「世界人類が平和でありますように。世界人類が愛の気(合気)で結ばれますように。守り給え、幸い給え。惟神御霊幸倍坐世、惟神御霊幸倍坐世」と太平洋戦争を体験され平和の尊さを知る白田先生は、心底から祈られておりました。四方への祈りと感謝が四方への動きである体捌きとなり、四方投げだけでなくあらゆる技に白田先生独特の体捌きである四方向への技を系統立て、構成なされたのではと考えています。 (記 船越光雄)
Comment
Comment form